長かったような気がするし、短かったような気もする。

宇奈月さんの唇が私の唇から離れた。

「――好きな子を放って置くことは、今の僕にはできない」

宇奈月さんが言った。

「――好きな子って…」

何を言ってるの?

それって、私のことなの?

戸惑っている私に気づいていないと言うように、宇奈月さんは抱きしめてきた。

「好きな子を手放したくないって言うのが男の性だし、離れたくないって思うのも男としての性だ」

宇奈月さんは、そう言った。

ああ、何でだろうか?

どうして、気づいてしまったのだろうか?

私はそっと、宇奈月さんの背中に自分の両手を回した。

――好きだと、自覚してしまった。

私はこの人を好きになってしまった…と、自分の気持ちに気づいてしまった。