二人の声が遠くなっていく。
起き上がることもできない。
体が………言うことを聞かない。
もう………ダメ………。

ガクッ

「すぐに保健室へ!!」

「はい!!」

バタバタッ

〈ねぇ、お母さん〉

〈なぁに?〉

〈お父さんは?〉

〈お父さん?〉

〈うん〉

〈お父さんはね………今お仕事で遠いところに行ってるのよ〉

〈遠いところって?〉

〈怜奈が行けないところ〉

〈じゃあ………お父さんに会えないんだね〉

〈………そうよ〉

私が生まれて二年が経った頃、お父さんは家を出ていった。
そしてそのまま帰ってくることはなかった。
だけど幼い頃の私は帰って来るのを毎日毎日待っていた。
けど………

〈何でお母さん泣いてるの?〉

〈怜奈ちゃん………!?起きてたの?〉

〈うん。さっき………〉