「なに、お前ダイエットとかしてんの?」
ほらきた。
ぐっと覚悟を決めてベッドに座って
康介を見ると、
さぞ面白そうな顔をした康介がいた。
「そうですけどー」
「何で。太った??」
「・・・む」
何時もならあたしの話なんてまともに聞かないくせして
こういうのばっかりは食いついてくる。
「ふーん、太ったかー」
康介は笑顔だ。
この爽やかな笑顔がものすごいムカツク。
「そーりゃぁ王子様が現れないワケだよなー」
「・・・」
あたしは小さな頃から
”格好いい王子様”に憧れていた。
優しくて、格好良くて、紳士的。
絵に描いたような王子様。
その王子様と結ばれて幸せになるっていう夢。
中1の時うっかり康介の前で口を滑らせてから
康介はこの話題であたしをからかうようになった。
親友の咲にこの夢の話をしたら、
「えー??なんでよ、菅谷君がいるじゃん」
とか言われたけれど冗談。
康介なんて
優しくて格好良くて紳士的 の
格好良いにしか含まれない。
しかも性格が悪いから
”格好良い”のかも分からないんだ。