もう歩き始めて2時間くらい経っただろうか。


私の足はおっきなイルカのシンボルがある水族館でピタリと止まった。



……ここ。

みんなで来た場所。



私だけがはしゃいで、走るなって言われてるのに走って。
案の定転んで大泣きしたっけ。


自分で転んで泣いたのに優也兄は"大丈夫、大丈夫"って慰めてくれたなぁ。



出口の横にあるお土産コーナーでは湊斗兄が欲しかったペンギンのぬいぐるみを買ってくれたし、



その横のクレープ屋さんでは何にしようか迷っていた私に駿介は別なのを頼んで半分にして分けてくれたっけ。













やっぱり私は3人に助けられて、迷惑かけてばっかりなんだ。


もう迷惑かけないようにって
側にいない方が3人のためだからって…


そう思って抜け出してきたのに…

私も忘れてしまいたいのに……



楽しかった思い出ばかり蘇ってくるよ……






本当は…
側にいたい。


病気にならなければ迷惑かけないのに。

私が本当の兄妹だったら……




胸がキュッと痛くなって

今まで堪えていた涙はポタポタと流れてきた。






























「ハァ……みつけた。」

そう言って息を切らしてグイっと力の限り後ろから抱きしめられた。


美「……………っ!」