夕食の準備を兄貴と一緒にしていた。

もう6時を過ぎているのに駿介と美音は帰ってこない。


夏だから陽はまだ沈んでいないけど、こんな時間まで駿介もついていて帰って来ないのはおかしい。



優「なぁ。」

兄貴が口を開いた。
きっと俺と同じ事を考えているんだと思う。


湊「うん。おかしいよね、駿介もついているはずなのに。」





心配になった俺らは美音が向かった方に走って探しにいくことにした。


優「駿!美音!」




美音と駿介の声が返ってきたのは森林に入って10分くらいのとこだった。





優「いた!美音!駿!」

どうやら足を滑らせて急斜面に落下したらしい。



美「優也兄…湊斗兄……駿介が……っ!」

今にも泣きそうな顔で訴えてくる美音。

駿介は怪我をしているようで顔も赤くぐったりしていた。



湊「すぐ助けるから待ってろ。」


すぐに兄貴と2人を引き上げて別荘へと連れて帰った。











優「39.5°C……解熱剤あったかな…」

苦しそうな駿介をみてポツリと呟いた兄貴は解熱剤を探しに医療道具を揃えてある部屋に探しに行った。



かつて美音と駿介の喘息を治すために使っていたこの別荘には、身体が弱かった2人のために薬品は最低限は揃えてある。





美「ヒック…ヒック…」

兄貴が駿介の診察をしている間、俺はずっと泣いている美音の心に寄り添った。


湊「美音、そんな泣かないよ。息苦しくなっちゃうよ。」


泣くと出やすくなる喘息。

美音がそうならないように必死に俺は美音の背中をさすった。