ひみつ

「へぇっ!?」


「なんて声出してんだよっおもしれぇ〜」


彼は右のポケットからスマホを出すと、私にQRコードを見せてきた。


手をふるえながら、そのQRコードを画面に収める。


すると、“三倉 蒼”の文字が、画面の真ん中に表示された。


「つ、追加したよ!」


「お、来た...」


やばい、今日なにか展開し過ぎじゃない?


自分がマンガの世界にいる気分。


ヒロインっていつもこんなドキドキしてるんだ...


ん...?ドキドキ?


このドキドキって...なんだろう...


なんかこの、発作みたいに痛くなくて、


痒くなくて、なにかこのムズムズする、虫みたいな?


「ちょっ莉菜ちゃんめっちゃぼーっとしてるけど、帰んなきゃおっさん怒るよ?」


「あはは...何してんだろ私」


カバンに教科書詰め込んで、持ち上げた。


「さようなら〜」


先生に挨拶をして駅に向かう。


「えっもしかして、莉菜ちゃんこっち方面?」


彼が指さした先には、私がいつも使う電車の方面だった。


「う、うん、そうだよ?」


「一緒じゃん〜!」


電車が一緒なだけでぴょんぴょん飛んで喜ぶ彼、可愛すぎしょ。