ひみつ

「あれっ俺寝てたのか?」


「ふふっそうみたいね」


頭を掻きながら、彼は横の椅子を引いてくれた。


「てか、高瀬さんって呼ぶのめんどくさいから、莉奈ちゃんでもいい?」


「あ、うん...」


「俺のことは...蒼でもいいし、なんでもいいや」


な、名前なんて呼べない...


尊すぎる...


「てか、莉奈ちゃん中間1位だよね?そんな人に俺説明するとか...たかぼうまじ何考えてんだろうな...分かりにくかったらごめんな?」


彼はどちらかと言うとウェイ系だ。


クラスでは副学級代表で、部活はバスケ部。


私とはほど遠いお方。


「でさ、ここはね、...」


熱心に私にプチ授業をしてくれて、それもわかり易すぎる...


「あっなるほどね! だからここが...」


授業中謎でしかなかった分がどんどん分かっていく。


この人...すごい...





「おい、図書館閉めるぞ」


図書館のおじさんに声をかけられて気づいた。


もう8時じゃん...


「うわぁしまった...ごめんなめっちゃ遅くなったわ...」


「こちらこそ、こんな遅くまでありがとう...」


「またわかんないことあったらいつでもゆって?あ、そうだ、LINE交換しよう」