ひみつ

チャイムが鳴って授業が始まる。


さっきより体調マシになってよかった...


「なら昨日の宿題の解説から始めるぞ〜」


先生はつらつらと黒板をチョークで汚しながら話し始めた。


待って全くわかんない...


ちらっと右を見ると、真剣に聞いてノートをとってる彼がいた。


かっこいいなぁ...


見てちゃダメだ!ノート書かなきゃ


分からないなりにとりあえずノートを写すだけ。


チラチラ前の教科書を読んでみてもわかんない...


期末テスト...詰んだ感...


数学は意味がわかんないまま授業が終わった。


教科書見て、ノートみて、って何回往復してもわかんない。


「高瀬さん、もし良ければだけど、数学教えようか?」


「えっ?」


「いや、たかぼうがさ、高瀬さんに休んでた分とかフォローしてあげてって言ってたから、役目果たせねぇとなと思ってさ」


たかぼうってのは、担任のあだ名。


てかこれ、夢...?じゃないよね?


「えっあっ...助かります...」


やばい心が乱れる。


「なら、6時に図書館で待ってるから」


「あ、ありがとう!」


やばいよやばいよ。


急に私の中で何かが展開し始めた。