異世界ニコニコ料理番~トリップしたのでお弁当屋を開店します~


「私、助けたいって思っても具体的になにができるのかわからなくて……でも、オリヴィエが口だけじゃなくて形にしてくれた。オリヴィエは頭がいいし、ニコニコ弁当屋の頭脳といっても過言じゃないよ!」

「なんですか、それ……喜ぶところなのか、笑うところなのか、理解に苦しみます」


もごもごと文句をこぼしているオリヴィエは照れくさそうに顔を俯けるが、耳が真っ赤だった。


「オリヴィエは絶対に自分の境遇をバネにするんだって、その気持ちを貫いたから商人として成功できたんだね。そんなオリヴィエをどんな人よりも強い人だと思う」

「……あなたは……」


オリヴィエがなにかを言いかけたとき、やけに静かなことに気づいて私は盗賊たちに視線を向ける。

すると、ランディが涙ぐんでいる仲間たちの顔を見回して静かに口を開く。


「俺は今回、法務官の連中に捕まって、思い知ったことがある。それはなあ、俺はお前たちを守ってるようで、守れてなかったってことだ」


その言葉に盗賊たちはいっせいに「なにを言ってんだよ」「俺たちは頭がいなけりゃ、とっくに死んでたんだぜ!」と首を大きく横に振った。

ランディは「おいおい、話をちゃんと最後まで聞け」と呆れていたが、その表情は晴れやかだ。