「雪の言ってることは抽象的ですが、他に道がないと決めつけてしまえばそこまでです。物を奪うのではなく、作ればいいのですよ。それでお金は生まれます」
「俺たちみてえな盗賊に、なにを作れって?」
「それを考えるのがあなたの仕事でしょう、と説教したいところですが。そこのお人好しが伝染しました。ひとつ、アドバイスしてさしあげます」
かなり上から目線だが、オリヴィエはランディの力になってくれるようだ。
「私のリックベル商店では野菜や日用品に至るまで、外部の農家や職人から仕入れています。ですが近々、自分のところで作れないかと考えています」
「リックベル商店って、あの全国展開してる名の知れた店じゃねえか! そこのオーナーがお前みてえな子供だとはなあ」
感心するランディは悪気はないのだろう。
だが、オリヴィエの顔が『子供』という単語に険しくなっていくのに気づいていない。
見守る側はひやひやしていたが、オリヴィエは論点がずれると思ったのかもしれない。
ランディの言葉を聞き流して、「いいですか?」と本題を切り出す。


