「ランディ、事情はノヴァから聞いたよ」
「ノヴァから? よく喋ったな。あいつらは奴隷出身で迫害されて散々な目に遭ってっから、仲間以外の人間は無条件で敵視するだが……」
「それだけ、ランディを助けたかったんだよ。見ず知らずの私たちに頼るくらい、大事なんだよ」
盗賊の住処を出るとき、必死な表情でランディのことを頼むと言ったノヴァさんの言葉を思い出した私は断言する。
「ねえ、このまま盗賊として生きていけば、バルドさんが言ったみたいに、ずっと法律とか、法務官の人たち、自警団の人たちから逃げて生きていくことになる。それをいつまでも続けるのって休まる暇がないよ」
「……言われなくたってわかってんだよ、そんなこと。けどな、何度難民申請したって門前払い。盗賊になる以外、他になにが……」
「ランディは頭領なんでしょ!」
気持ちが高ぶって、大きな声が出てしまった。
私にとやかく言う資格はないって、わかっていたのに偉そうなことを口走ってしまう。
「今は見つからなくても、こそこそ隠れずに堂々と生きられる道を考え抜かなきゃ! ランディが諦めたら、盗賊の皆はずっとその日暮らしなんだよ!」
必死に説得すれば、ランディの瞳が揺れる。
成り行きを静観していたオリヴィエはため息をつくと、私の隣にやってきて腰に手を当てた。


