「ですが、それで窃盗の罪が消えるわけではありません。少なく見積もっても、五百万G必要です。それが払えなければ、十五年の懲役刑になります」
「ねえエドガー、五百万Gってどれくらいの価値があるのかな?」
私は保釈金がどれほどのものなのか、見当がつかなくてこっそり隣にいたエドガーに尋ねる。
「そうだな、城に近いほど土地も物価も高くなるんだけど、王都の家が五軒は買える額かな」
「そ、そっか……」
そんなお金があるなら、ランディだって盗賊なんてしていないだろう。
ランディを見ると諦めたように視線を宙に投げて、椅子の背もたれに寄りかかる。
「その日暮らしてくだけでも必死だってのに、そんな大金ねえよ」
案の定、ランディには手持ちのお金がない。
でも、私が王様から貰った謝礼金は五百万Gを遥かに上回る額。
ランチワゴンの運転資金は減ってしまうけれど、人助けで王様がくれたお金だ。
同じく人のために消えるのなら、使い道としては正しいのではないか。
そう思った私はランディの前まで歩いていき、その顔をまっすぐに見下ろす。


