「ここにランディ・リアブロッドという盗賊の男が収監されているはずなんだが、その者の処遇について相談したい」
バルドさんの目的を知った男性は、「それでしたら、たった今法務官が事情聴取をしているところです」と言って、私たちを取調室に案内してくれる。
「では、犯行を認めるんだな?」
中に入れてもらうと、椅子に腰かけたまま鎖に繋がれたランディが険しい顔つきの法務官二名に問い詰められているところだった。
「すまない、失礼する」
バルドさんが声を発すると、法務官たちは勢いよく敬礼した。
ランディは私たちの姿を見て、「なんでお前らがここにいんだ?」と目を丸くしている。
「ランディ・リアブロッドの所業は許されたものではないが、そもそもこの男が盗賊になったのは難民申請を法務省に受け入れられなかったからだと聞く。その背景に関しては、調査は済んでいるか?」
法務官たちはバルドさんの問いに顔を見合わせると、「いいえ」と首を横に振った。


