「お前たち、その男に抵抗の意思はない。裁くなら法務省でにしろ」
「だ、だがよ! こいつは俺の金を……ひいっ!」
反論していた男はバルドさんの顔を見た途端に悲鳴を上げて、「お前も盗賊の仲間か!?」と後ずさる。
「この人はパンターニュ王国の騎士団長ですよ。その無礼な発言は、いただけませんね。この人の機嫌を損ねれば、あなた方も牢獄行きです」
オリヴィエが加勢するように脅せば、自警団の男たちはバルドさんの鎧に刻まれていたパンターニュ王国の紋章を見て、大人しくなる。
「あとのことは任せたぞ、ノヴァ」
ランディは盗賊の仲間のひとり──ノヴァと呼ばれた二十代くらいの青年にそう声をかけると、連行されていく。
呆然としている間に騒ぎは静まっていて、盗賊たちからはすすり泣く声が聞こえてきた。
「ノヴァ、どうすんだ! お頭、あのまま殺されたりしねえよなあ?」
盗賊たちは不安げな面持ちで、ノヴァの周りに集まる。
ノヴァは悔しげに唇を噛んで頷いていたが、意を決したように重い口を開いた。


