「そ、それだけは絶対にダメ!」
「じゃあ、お前が俺のもんになんのか?」
「そ、それもダメ!」
「なんだよ、ダメばっかじゃねえか」
うんざりした様子のランディに私は知恵をふり絞った結果、これしかないと提案する。
「なら、お弁当! 私がお弁当を振る舞うっていうのはどうでしょうか? う、腕には自信があります」
なんとなく想像はついていたけれど、ランディは雷にでも打たれたかのように微動だにせず、「……は?」とだけこぼした。
その後の話し合いの結果、私は盗賊の皆さんにお弁当をふるまうことになったのだが、おいしくなければ指輪どころか、私もロキもランディのものにならなければならないという条件をつきつけられてしまった。
私たちはランチワゴンを盗賊の村の中央に停め、看板を出すと制服のエプロンを身に着ける。
「この条件は不利だ。味に関わらず、向こうがまずいと言えばそれで終わりだからな」
バルドさんの懸念はごもっともだ。
最初から取引であってそうでないような気もするが、ランチワゴンで強行突破するように逃げたとしても、またタイヤをパンクさせられるだけ。
そうなったら、今度こそ取引の余地もなく盗賊のいいようにされてしまう。
当初の目的だった男の子の指輪も取り戻せない。
なら私は盗賊たちが嘘もつけないほど「おいしい!」と言わせられるようなお弁当を作るしかない。


