賊巣は生い茂る森の奥深くにあった。
幹がしっかりとした木々の間にツリーハウスのようなものがいくつも密集して建てられていて、ひとつの村のようになっている。
到着するや否や盗賊たちに囲まれた私たちは、頭領であるランディの前に連れていかれた。
「それで? わざわざ盗賊の住処まで訪ねてきた珍客さんよお。用件はなんだ?」
来て早々に刃を向けられるかもしれないと考えていた私は意外にもランディが話を聞く姿勢を見せたことに拍子抜けしつつ、一歩前に出る。
そんな私を心配してか、エドガーは「雪」と名前を呼んで後ろから腕を掴んできた。
私はエドガーを振り返ると安心させるようにひとつ頷いてみせて、再びランディをまっすぐに見据える。
「あなた方にお母さんの形見の指輪を取られてしまった男の子がいるんです。それを返してもらえないでしょうか」
正直に用件を伝えると、私を馬鹿にするように成り行きを見守っていた盗賊たちから笑いが巻き起こった。
その中でランディは楽しげに舌なめずりすると、私に近づいてくる。
とっさにエドガーとバルドさんが前に出ようとすると、ランディは射抜くような視線をふたりに向ける。


