「あの、銃は独学で習得したんだ。剣術は……その、習ったことがあって」
「どこでです?」
間髪入れずにオリヴィエが尋ねると、エドガーは「それは……」と歯切れ悪く言葉を濁した。
はっきりしないエドガーの態度にオルヴィエは苛立ったのか、眉をぴくりと動かして一喝する。
「きちんとした答えがなにも返ってこないじゃありませんかっ、あなたは何者なんです!?」
「ご、ごめん……」
年下に説教されて縮こまっているエドガーを見かねて、私はおずおずと口を挟む。
「エ、エドガーは発明家なの。家の作業場にも発明品がたくさんあったから、それは本当だと思う。戦える理由はわからないけど、エドガーにはなにか事情があるんだろうし、話せることなら初めから話してくれてると思うよ?」
苦笑いしながらエドガーを庇うと、火に油だったらしい。オリヴィエはずんずんと私の前まで歩いてきて、ずいっと顔を近づけてくる。
「あなたもあなたです。これから一緒に行動する人間の素性がわからないまま、雇ったんですか? 危機管理能力がなさすぎです!」
「や、雇ったというか、エドガーは私の旅を手伝ってくれてるの。それにね、エドガーってオドオドしてるし、挙動が怪しいけど優しい人だよ!」
拳を握りしめて力説している間、ときどきエドガーの「オドオド、挙動が怪しい……」という沈んだ呟きが聞こえたような気がするけれど、空耳だったことにする。
どうしたって、怪しいことには変わりないのだ。
でも、エドガーが悪人でないことは、私みたいな異世界から来たなんて言う変人の話を信じて家に居候させてくれた時点で証明されている。
だからどうにか、誤解を説いてあげたかった。


