「悪いけど、雪を傷つけさせるわけにはいかないんだ」
エドガーは剣でランディの鉤爪を勢いよく弾くと、私を抱えたまま後ろに飛びのいた。
その技は明らかに戦いなれた人のもので、私もバルドさんもオリヴィエたちも呆然とエドガーを見つめている。
「見かけによらず、手練れとはなあ。こっちの頭数もそこの大男に随分減らされちまったし、ここは退散してやんよ」
ランディはバルドさんを一瞥したあと、ひらひらと手を振りながら盗賊たちを引き連れて去っていく。
その場に残された私たちは、自然とエドガーのもとへ集まっていた。
無言でエドガーを見上げると、私の視線に気づいたエドガーはばつが悪そうな顔で「あー……ははは、は」と笑ってごまかそうとしたのだが、無理があるとわかったのだろう。
最後のほうは乾いていて、皆の説明しろという目に耐えられなくなったのか、咳払いをすると姿勢を正した。
「戦いには、まあまあ縁があって……」
「エドガーは銃と剣の心得があるのか?」
バルドさんの静かな追及に「うっ」とうめきながらも、エドガーは誰とも視線を合わさずに答える。


