「ちょ、ちょっと、どうするんです!? おっかない連中が襲いかかってきましたよ!?」


顔を真っ青にして叫んでいるオリヴィエをバルドさんは小脇に抱えた。


「口を閉じていろ。舌を噛むぞ」


そう言って、バルドさんは迷わず敵陣に突っ込んでいく。


「は? え、ぎゃあああああああっ」


目に涙を浮かべたオリヴィエを抱えたまま、バルドさんは剣を振るう。

そのたびに、悲鳴が森の中にこだました。


「あ、あれはかわいそう……」


オリヴィエを不憫に思っていると、ふいに腰に腕が回る。

耳元で「雪!」と切羽詰まった声で呼ばれ、強い力で抱き寄せられた途端に眼前を銀の閃光が横切った。