「雪は人を動かす天才だ。なんでか君の話を聞いていると、本当に自分も誰かの力になれるんじゃないかって思うよ」
「思う、じゃなくてなれるんだよ。あ、さっきもね、ロキと話してたんだけど、コンロを作ってもらえないかなって」
「それはどんなカラクリなんだ?」
コンロは聞きなれない言葉だったのか、エドガーは首を傾げる。
「えっと……どんなって聞かれると難しいな。ガスの元線を捻って、スイッチひとつで火がつくの。しかも、弱火、中火、強火って火加減を調節できるレバーがついてて……」
「へえ、すごく面白そうだ」
顎をさすりながら、爛々と瞳を輝かせるエドガーは発明家の顔をしていた。
コンロの絵を描いてほしいと頼まれたので、紙に羽ペンを走らせていると私の手元を覗き込んでいた彼がぽつりと尋ねてくる。
「雪は将来、料理人になるの?」
「……うーん、ちょっと違うかな。私、本当はランチワゴンを開くのが夢だったの。そこで、お弁当屋をやろうって、約束……してて」
話しながら、お葬式の光景が脳裏をよぎって手が止まる。
そんな私を不思議に思ったのか、エドガーが気遣うような視線を向けてくるのがわかった。


