「私は雪といるわ。だから私も連れて行って」
「ロキ……私も一緒にいられたら嬉しい」
私とロキの視線を受けたエドガーは「なら、一緒に帰ろう」と言ってくれた。
彼の柔らかな空気に促されるようにして、私が差し出された手を取るとエドガーは片手でロキを抱き上げる。
街灯が少ないせいか、私のいた世界よりも星の瞬きが鮮明に見えて月が近く感じる。
ときどき吹く夜風が冷たくないのはきっと、エドガーが私に帰る場所を作ってくれたからだろうと思った。
エドガーの家は国境線近くのパンターニュの森の中にあった。
「ちょっと散らかってるけど、避けて入って」
にっこりと笑って私を中に促すエドガー。レンガ造りの家で外観は大きいのだが、私は入り口から前に進めない。理由は足の置き場がないからだ。
ざっと見たところ、床には脱ぎ捨てた衣服にスパナのような工具の数々と用途不明な機械、腐って異臭を放つリンゴが転がっている。
絶句している私の隣で、ロキがぼそっと「これはゴミ屋敷ね」と呟いた。
お世話になるのに失礼だけれど、ロキの感想は的を射ている。
エドガーは片足を上げながら、頭を下げて障害物を避けるというすご技を見せつつ、どんどん中へ進んでいく。
そんなアクロバットをしなくても、片付ければ済む話なのに。


