「そんな心配してないよ。エドガーとは出会ってから日が浅いけど、炊き出しを手伝ってくれたり、私のわがままのために高価なブローチまで売ってくれたり、優しい人だなって思ってる」
「雪は俺を持ち上げすぎだよ。自分で言うのもあれだけど、俺が極悪人だったらどうするの?」
「どうもしないよ。本当は悪い人なのかもしれなくても、私は自分の目で見たエドガーを信じるだけ。起きてもないことを悩んでも仕方ないから」
きっぱりそう答えれば、エドガーは目を丸くしたまま固まっていた。
いつまでたっても動き出さないので、エドガーの顔の前で手を振ってみると、すぐに我に返った様子で私をまじまじと見つめる。
「驚いた、雪はまっすぐだね」
眩しいものでも眺めるように、エドガーが目を細めたのは一瞬。
すぐにいつもの困った笑みに変わる。
「じゃあ、行こうか。えっと……ロキは森に帰る?」
エドガーの視線を受けたロキはすかさず、私のスカートの裾を小さな手でぎゅっと握る。


