「バルドさんたちが勝った! おいしいご飯、いっぱい作ってあげないと」
興奮して声を弾ませる私をとっさに抱きとめたエドガーは困ったように笑って、駐屯地を囲む森に目を向ける。
「はは、落ち着いて。でも、これでしばらくはパンターニュの森も平和だな」
「そっか、エドガーの家はこの森にあるんだったね」
エドガーの視線を辿るように森を見ていると、「人を手伝わせておいて、サボるなんていいご身分ですね」という皮肉を込めた一声が飛んでくる。
エドガーから離れて声の主を探すと、オリヴィエとロイが幌馬車のほうから歩いてくる。
「ふたりともお帰りなさい、食材を運んできてくれてありがとう」
私がふたりに駆け寄ると、オリヴィエは顔を近づけてきてじとりと据わった目で見てくる。
「こんな変なウサギと二人きりにしておいて、男といちゃついているなんてどういう了見ですか」
びしっと効果音でも鳴りそうな勢いでオリヴィエに指差されたロキは、耳を立たせて頬を膨らませた。


