「んうーっ」


雪景色を見ながら、熱々のボルシチを食べられるなんて……!


言葉にならないおいしさに悶えていると、エドガーはぷっと吹きだしてから、おかしそうに肩を震わせる。


「雪は本当においしそうに食べるね」

「だって、本当においしいんだもん。連れてきてくれてありがとう。でも、どうして誘ってくれたの?」

「雪のその幸せそうな顔、見たかったから」


熱いなにかを秘めたようなエドガーの瞳に見つめられて、胸の奥からドキンッとなにかが突き上げてきた。


今の、なんだろう?


首を傾げて服の上から心臓あたりに手を当ててみると、やたら拍動が早い。

それからの食事はひどいものだった。

エドガーの前で料理を食べる機会はいくらでもあったのに私はなぜか緊張してしまい、味がわからない。

さっきまでぱくぱくと牛肉を頬張っていたくせに、今さら大きな口を開けていないか、口回りが汚れていないかが気になって何度もナプキンで拭う始末。

自分の変化に、私自身も戸惑っていた。