異世界ニコニコ料理番~トリップしたのでお弁当屋を開店します~

「どうしたらこうなるんです?」


その〝どうしたら〟が指すのは、とっ散らかった部屋のことだろう。

エドガーの私室は発明に使う工具から脱ぎ散らかした衣服でさらなる絨毯を築いており、ナイトテーブルやベッドの枕元には設計図のような紙が塔のように積み重なっている。


「はは、俺はこっちのほうが落ち着くんだけどね」

「エドガーの家に滞在してたときのことを思い出すわ。エドガーは目を離すとすぐに汚すから、私と雪で片付けしながら歩き回っていたのよ」


困った人ね、と言いたげにロキは両の掌を上にして首を横に振っている。

旅の荷物が少なかったからか、ランチワゴンや宿の部屋の中は綺麗さが保たれていたけれど、着替えの服を畳まずにぐしゃぐしゃのまま鞄に突っ込んでいたり、声をかけなければ髭を剃り忘れていたりするところは変わっていない。

イケメンなのに部屋が汚いなんて、なんだか残念だ。

微妙な気持ちでエドガーを見ていると、限界とばかりにランディがぶはっと吹き出した。


「エドガーっ、縁談に行かなくて正解だったんじゃねえか? 部屋を片付けられない王子なんて、幻滅されてポイだぜ」

「お前たち、その話はとりあえずあとにしてくれ。とにかく今は王妃様に痩せてもらわなければ困る。雪、俺たちに手伝えることはあるか?」


話を戻してくれたバルドに感謝しつつ、私は「そのことなんだけど」と言ってエドガーに視線を向ける。