異世界ニコニコ料理番~トリップしたのでお弁当屋を開店します~

「えっと……訓練、ご苦労様。適度な危機感は身が引き締まるから大切だよね。また、頼むよ」


ここは訓練で押し切ると決めたのか、エドガーは額に汗をかきながらも笑顔で言い切る。

その意図を瞬時に酌んだバルドは「身に余るお言葉、感謝いたします!」と敬礼した。さすがは現役の騎士、動きにキレがある。


「じゃあ、話があるから俺の部屋に来てくれるかな」


呆然としている王子や兵、王妃様を置き去りにして、そそくさと王間から脱出した私たちはエドガーの部屋に到着するや否や深く息を吐き出した。

エドガーが「皆、なんでこんな無茶を?」と聞くと、オリヴィエの眉がぴくりと動く。これは説教が始まる合図だ。


「こうなったのも、あなた方がなんの報告もなしに姿を消したからですよ。どうして、僕より年上のあなた方が報告、連絡、相談ができないんです?」


息継ぎもせず早口で文句を言うオリヴィエの頭を、ランディは「よしよし」と撫でる。


「まとめて略すと、心配だったってわけだ」

「勝手に略さないでください!」


目尻を吊り上げているオリヴィエに、私も申し訳ない気持ちでいっぱいになって「ごめんね!」と頭を下げた。