「バルドは私の話を信じてくれるの?」

「……俺は雪が何者なのか、そんなことはどうでもいいと思っている。 あの森で出会った日から今まで、俺が見てきた雪を信じているだけだ」


その言葉に胸がじんとして、私は「ありがとう」と掠れた声で返事をした。


「ま、まあ。あなたが嘘をつけない人間であることは、これまでのあなたを見ていればわかります。僕だって、信じてないわけでは……」


口ごもるオリヴィエの首に後ろから腕を回したランディは「素直じゃねえなあ」と豪快に笑った。

自分を受け入れてくれているのだとわかって、私は救われたような気持ちになりながらバルドがついでくれた器の中のチキントマト鍋に視線を落とす。

トマトスープの中にゴロゴロと浮くのは鳥手羽先に、切らずに丸ごと入れた玉ねぎ、スライスしたベーコンにしいたけだ。

木のスプーンでスープをすくって口に運べば、ふんわりと香るにんにくと身体に染み入る酸味。

円形を保ったままの玉ねぎにスプーンを当てると、溶けるように崩れてトマトスープとチーズによく絡む。