「あなたもですか。エドガー同様、なにかやましいことがあって話せないとか?」

「話してもいいんだけど、多分信じないんじゃないかな……」

「やけにもったいぶりますね。 信じるか信じないか、それを決めるのは私です。いいから話してみなさい」


尋問官のような圧を放つオリヴィエに、半ばやけくそな気持ちでお母さんの葬式の日に遺品のレシピ本が光を放って、気づいたら異世界に来ていたこと洗いざらい話した。

案の定、オリヴィエは〝あなたの頭大丈夫ですか?〟と言いたげな顔をしている。


「ほら、疑ってる!」

「どう信じろって言うんですか、そんなおとぎ話みたいな話!」


がやがやと私たちが言い合っていたとき、「お嬢ちゃん、異世界から来てたのかあ」という声が飛んでくる。

オリヴィエと一緒に振り返ると、そこにはいつの間に集まっていたのか、ランチワゴンの調整をしていたエドガーと、薪を拾いに行っていたバルド、魚を釣りに行っていたランディの姿があった。


「にわかに信じがたい話ではあるが、雪はどこか浮世離れしているからな。違う世界から来たと言われると、妙に納得できる」


バルドは驚きもせずに集めてきた薪を足元に置くと、そばにやってきて「手伝おう」と私の手から器とおたまを取る。