数週間、カイエンスに滞在した私たちはすっかり南国の空気を気に入ってしまい、次の目的地も別大陸にある砂漠の国──ガラシャバラにしようということになった。

海を渡らなければならないので、このランチワゴンを運べる大型貨物船が停泊しているという港に向かっている。

その港は同じカイエンスにあるのだが、最初に拠点にした町よりうんと離れているため、目的地まで半分のところまで来た私たちは森の中で野宿することになった。


「 皆、チキントマト鍋ができましたよ~」


夕暮れ時、私はロキと一緒に夕飯を作っていた。

ランチワゴンのコンロは使わず、三脚で焚き火の上に鍋を吊るして料理をしたのだが、火加減が難しい。

でも、それがまた新鮮で野宿のときは必ずこの方法をとっていた。

三脚は騎士の遠征でバルドが使っていたもので、 旅に必要だろうと持参してくれていたのを借りている。


「コンロがあるのに、なんでわざわざ焚き火で料理なんかしたんです? 効率が悪いじゃありませんか」


ニコニコ弁当屋の売上を記録してくれていたのか、帳簿を手にオリヴィエがやってくる。