言った後悔とはこのことだ。


耳に痛いほどの沈黙。もしかして教室を出たのだろうか。それとも、実は声に出しいなかったのだろうか。






それを確かめるために、すっかり固まった首をゆっくり動かす。











「___っ?!」



「なに、聞こえてたわけ?」









鼻と鼻が触れ合いそうな至近距離。整った顔をした神楽坂玲人が、凍るような瞳を携えそこにいた。

思わず身を引く私の腕をすかさず掴んだ奴はもう一度低い声を出す。











「おい、聞いてんのかブス」


「ブッ…?!」


「ったく、イヤフォンしてるかと思ったら油断した。あーあ、最悪。ありえねぇ。俺、最初声かけたよな?無視したのかよ、ブス眼鏡のくせに。でもって聞かれたくねぇとこだけしっかり聞いてやがるし、さすが庶民ブス」








目の前がチカチカする。
そりゃ、本性を隠しているとは思っていたが想像の何倍も酷い。一つ二つのやり取りだけで何回の暴言が飛び出したのだろう。








「な、な、な」



「あァ?なに変な声出してんだよ、お前が言ったんだろ?俺の事、つまんなそうな人生って。あ゛ァ?どういう了見だそりゃ」





ドスの利いた声。眉間に寄る皺。言葉遣い。態度。何もかもが私の知っている神楽坂玲人とは違う。