それから、私の日常は少しずつ形を変えていった。





「ねえねえ中島さん。次の数学の宿題、答え合わせしない?」



「…答え合わせするまでもないと思うよ。か、神楽坂君、頭、いいでしょ」



「ええ、学年一位の中島さんの答えが同じだと僕も少なからず安心するんだよ。冷たいこと言わないでよ、クールなんだね」





皆に平等に接する神楽坂玲人の名は噂だけではなかったことが証明された。


クラスの隅っこにいるような私に幾度となく話しかけた。胡散臭い笑みを張り付けて。







その度、私は二文にも満たない返答をぽつりぽつりと返しなんとか会話が成り立つ。何故そんなに私に話しかけるのだろうか。





彼と会話する時間はまるで地獄だ。