雨が降ると言う天気予報も無かった為か、クラスメイトの多くが傘を持ち合わせていなかった。



彼の後を追って昇降口まで行くと、彼は靴を履き替えた。やはり傘は持っていない。



私は勇気を出して彼に声をかけた。



「せ、青春だね。私、胸がドキドキしてきたよ~。それでどうなったの玲奈ちゃん?」



若菜は胸を弾ませながら話を聞いているが、残念ながら彼女の期待には応えられない運びとなった。



「あのー、ヒロト君。……もうすぐ車で迎えが来るんだけど、良かったら一緒に乗っていかないかな?」



外は大雨、オマケに傘を持ち合わせていない。



十中八九の者が有難がる申し出だ。



その確信があったからこそ、勇気を持って彼に話しかけれたと言っても過言では無い。



しかし––––



彼は私を無視して、傘もささずに大雨の中、昇降口から外へと駆け出て行ったのだ。



「えー! 何それ! ヒロト君めちゃくちゃ酷いじゃない。私ならその時点で冷めるわ」



「ふっ、雪は子供ね。その刺々しいところがカッコいいのよ」