「ダメだよ、そんな事言ったら。わたし謝ってくるね」



煽ってきた小僧……少年と一緒にいた女の子がそう口にして、後ろから駆け寄ってきた。



……面倒くさい。



仕方なく振り向くと、女の子の目はキラキラとして眩しい。
闇の住人である私には眩しすぎるよ。



「あのー、すみませんでした」



「い、いや別に気にしなくても良いよ」



女の子はペコリと謝ったまま、視線を外さない。



「わたしの顔に何か付いてる?」



「何があったか知りませんけど頑張ってくださいね!」



少女は爽やかな笑顔でそう言って立ち去っていった。



 ……小学生に同情されてしまったようだ。



「ふふっ、フフフ」



 面白い。面白いぞ。



 わたしは目にジワリと湧いた塩気に満ちた水滴を拭いながら、重い足取りで目的地まで向かった。