というわけでみんなでカラオケに来ました。



私は1曲も歌っていない。



だって、目の前に本物の歌手がいるんだから…。



聞き専になるのは当然。



みんなほんと上手すぎて、感動。



「ほら、次あすかちゃん」



「無理無理無理無理!無理です!」



歌なんて…ムリ!



来なけれ良かったと、後悔したのは言うまでもない。



「えー!歌ってよー!」



「歌は…みんなの方が上手いから…聞き専で」



「まぁまぁ、一緒に来てくれただけ感謝しようよ」



雅さん…



「ねー、遼はさ、いつ東京越してくんの?」



はい?



「そうだ、あすか、その事で話したかったんだ。」



「東京に…引っ越すの?」



「俺一人じゃない。あすかも一緒。」



そんな…一花とだって…仲良くなれたのに



「あすかが高校卒業まで待つよ?」



「それって、仕事の関係で引っ越す?」



「そう。仕事に巻き込んで悪いと思ってる」



「ううん。なら、早く引越した方がいいよね。仕事に支障が出るなら、改善した方がいいし。」



「あすか?」



「大丈夫。でも、今学期が終わるのは待って欲しい。今学期が終わったら、引越そう。」



「いいのか?」



「うん。仕方ないよ」



「あすかちゃんは兄貴想いだな!」



「そうですね。」



「優しい子じゃん」



「いえ。じゃぁ私一花に電話してくるね」



「急なことでごめんな。」



「いいよ。気にしないで。」



だって、仕事だもん。仕方ない



私は部屋を出て、一花に電話をかける。



『もしもし?あすかからなんて珍しいじゃん』



「一花、話があってさ。」



『ん?』



「今学期が終わったら、引っ越すことになったの。」



『はい!?』



「急なことでごめんね?お兄ちゃんの仕事の都合で、あっちに引越さなきゃいけなくて…」



『あ、そういう…そっかぁ、引越してもあすかは友達だよね?』



「当たり前じゃん!一花は私の友達!」



『うん!でも、今学期って来週の金曜日で終わりじゃん…』



「それまで思い出いっぱい作ろ!」



『うん!じゃぁ、また明日ね!LIVE楽しみー』



「だね。じゃぁまた明日」



電話が終わってすぐ、それを見計らったかのように、電話がかかってきた。



「もしもし?」



『今、大丈夫?』



「はい。」



電話の主は…雅さんだった。



『今度さ、東京で会おうって言ってたやつ、月、火で休みがとれたんだ。』