秋の魔法

「……久しぶりだね。秋羽」

雪羽はニコニコ笑いながら僕を見つめる。僕は「久しぶりじゃないでしょ」と無表情で返した。

「…そうだね。でも、何でこんな時間に俺を呼んだの?皆にバラしていることになるよ?俺たちは二重人格ですって」

雪羽は表情を崩して僕を見つめた。不意に酷い暴力を受けた日の事を思い出す。

「…何だって良いでしょ」

「良くない。皆の前では決してばらさない、と決めたのは秋羽だよ?」

「そりゃそうなんだけど…もう限界なんだよ…っ!」

僕はその場で地面に座り込んだ。雪羽は辛そうな顔で僕を見る。

「え?どういうこと?」

僕はそれ以上何も言わない。雪羽は「…なら、相談所に行こう」と僕の腕を引いて魔法をかけた。僕と雪羽が分かれている時は、魔力は半分になる。

移動魔法で相談所の前まで来た僕らは、人格を分けたまま相談所に入った。相談員さんに全てを話す。その相談員さんは魔法が使えるらしく、こっそりと僕らに嘘を見破る『見破り魔法』をかけていたらしい。

相談員さんは、僕を撫でると「良く耐えてきたね」と言ってくれた。無意識に僕は笑う。

やがて、笑っていた僕の表情が徐々に崩れていき、最終的に泣き崩れた。僕が記憶に残っている中で初めて泣いた瞬間だった。