秋の魔法




僕はチャイムの音でふと目を覚ました。いつの間にか先輩の肩に頭を乗せて眠っていたようだった。場所も移動している。

「あ、起きた?倒れる危険があったからここまで運んで来たんだけど…」

「おはようございます」

僕は立ち上がると頭を下げた。そして「そろそろ授業に戻るますね」と言い残して教室に戻る。次の時間は魔法演習。今回は自習だ。

校庭に出たと同時にチャイムが鳴り、僕は慌てて整列する。

「…今日は前にも言った通り、魔法の自習にする。念の為に無効化魔法をかけておく」

無効化魔法とは、かけた範囲の物に魔法の効果を与えさせない魔法のこと。

「では、始め」

僕は少し周りの人と距離を取ると、どの魔法を使うか迷った。まずは、浮遊魔法。

僕の体がふわりと浮く。この魔法は、初めて先輩に会った時に、僕が初めて体験した魔法だ。再開した時に、この魔法を先輩に教えてもらったのだ。

僕は地面に着地すると、急に雪羽に会いたくなって人目を気にせずに呪文を唱えた。

「1つの身体に2つの心が宿りし者よ。今、我が魔力の命に従い、我の前に姿を見せよ」

僕の目の前に黒い炎が現れ、それが徐々に人型に姿を変えた。

皆は驚いて僕を見つめる。先生は「その魔法、人格分裂魔法…?」と僕と雪羽を交互に見つめた。