ぎゃはは、と顔を歪める三人は、だいぶ私のことが嫌いらしい。
''みんなの物''、''完璧''。
その言葉が、やけに冷たく、胸に響いた。
「っない....!」
「は?なによ」
「....律くんたちを、モノ扱いしないでください」
自分でも驚くくらいの、低い声。
無意識に名前で呼んでしまったことに気づいたけど、今はそんなことどうでもいい。
雰囲気が変わった私を見て、矢野さんたちはビクッと肩を震わせる。
確かに、律くんたちは完璧だ。
勉強も運動も....それに、容姿だって抜群に整っていると思う。
───だけど
「律くんたちは、たくさん努力してるから完璧に見えるだけです」
「っなに言ってんの?桜雅くんなんて、テストも毎回一位で....スポーツも出来て、才能に恵まれた天才じゃん....!あんたなんかが分かったように言わないでっ!」
興奮気味に叫びながら、ドンッと突き飛ばされる身体。
痛みに顔を歪ませる私を見て、ニヤッと口角を上げる矢島さんたち。
あぁ....ほんとうにこのひとは、律くんを''完璧''だと思ってるんだ。
「....そんなことは、並大抵の努力で叶うことではありません。ったくさん、たくさん努力したからこそ、今の律くんがあるんだと思います」



