「.....は、集中もなにも────授業中だいたい寝てんじゃねーかよ」
そんな失礼な言葉が返ってきた。
「い、いつもじゃない!たまに....だもん」
負けじと言い返すけど、真っ向から反論できないのが悔しい。
確かに....授業中に気を失って、気づいたら休み時間、というのは珍しいことではない。
「律くんって、あんまり授業中とか寝ないよね」
この席になって二週間、律くんの居眠り姿は見たことない。
それを聞けば、律くんはにやりと含み笑いをして。
「まあ、俺は隣のマヌケ面見てると眠気ふっとぶから」
「ま、まぬけ....」
「よくぼーっと黒板見つめてるだろ。あのカオ、すげえ好き」
「ばかにしてるでしょっ。そんなの、すきとか嬉しくない.....!」
.....はあ、なんだか集中力が切れててしまった。
テキトウに解き終わった方程式を、芯のでていないシャーペンなぞっていると。
トントン.....と、ノートを人差し指でつつかれた。
「り、律くん....?どうし....」



