お、終わった....あはは。
チーンと、頭のなかで人生終了の鐘が鳴り響いた。
とくになにもない人生だったなあ....。
「....お前、目ぇ瞑れ」
伊織くんの、地を揺らすような低い声が耳を木霊する。
これは....な、殴られるっ!?
一瞬身構えながらも、覚悟を決めて、ぎゅっと目を瞑る。
そして、その数秒後。
「....あだっ!」
強力なデコピンが飛んできて、おでこがジンジンと痺れる。
う゛ぅ、痛いぃ.....!
おでこを手で押さえながら、恐る恐る目を開けると。
「くくっ。お前、オンナじゃねのーな」
口角を上げ、無邪気に笑う伊織くんの姿。
いつも無表情な伊織くんの笑顔を見たのは、初めてで。
びっくりして、ポカーンと口が開いてしまう。



