無敵の総長は地味子ちゃんに甘すぎる




''約束''とは、悠莉との待ち合わせのこと。


中学の頃から、悠莉とはいつも一緒に学校に通っていた。



「悠莉、めちゃくちゃ制服似合ってます」


「そー?ありがと」


スカートの裾を軽く持ち上げながら、にこりと微笑む彼女。


まさに''美少女''という言葉がぴったりだ。


鎖骨くらいまで伸びたミルクティー色の髪はふわふわなハーフアップ。


ふわり、と微かに香る桃の香水。


女子力の塊、とはこのことだ。


それに比べて私は────


髪も巻いてないし、化粧なんてまったく無縁。


人より目立つところと言えば、この地味な格好と、生まれつき色素が薄い栗色の髪くらいなもの。


相変わらずの悠莉との差に悲しくなり、ガクリと肩を落としていると。


「ふふっ、未桜は相変わらず個性的な格好だよね。メガネくらい取りなよ」


悠莉がメガネをを指さし、そんなことを言ってきた。