「....すこしくらい手加減してやろうかと思ったけど、やめた」


「手加減.....?」



ぼそりと呟かれた言葉に、首を傾げる。


すると、桜雅くんはどんどん距離を詰めてきて....。



「ち、近....っ」


肩に手を添えられて、ぐっと距離が縮まった。


「やっと───....けたから」


とぎれとぎれのセリフ。


熱い吐息がこもって、どことなく甘い雰囲気に包まれているように感じるのは気のせいだろうか。



「え....?」


「こっちは長期戦覚悟だってこと」


長期戦、覚悟.....?


....だめ、なにも理解できない。


「おうがくん、あの、」



''さっきのはどういう意味?''


そう聞こうとしたのに、するり、と髪に手をすべらせて、やさしく撫でてくる桜雅くんに制されてしまう。



さっきまでの穏やかでやさしい時間はどこにいったの、と問いかけたくなるくらいの甘ったるい空間。



「覚悟してて、未桜」



意地悪く口角を上げて────甘く、妖艶に微笑んだ