私と桜雅くんは決して、そういう関係ではないというのに。
そもそも彼に私を自分の彼女ににする理由も、メリットもないはず。
「....おまえは俺の彼女。わるいけど、それは曲げない」
「わ、るいっていうか.....、なんでわたしなんですかっ....?」
まっすぐに見つめられて、すこし怯んでしまう。避けるように視線をななめにそらしたら、なぜか右手に力がこめられる。
....ワケを、聞かせてほしい。
ぜったい、なにかワケがあるんでしょう?
今度こそ、まっすぐに、そらさないようにじっと下から見つめる。
すると桜雅くんはふぅ...とため息をついて、私の頭に手を伸ばした。
「彼女ってことにすれば、未桜の一番近くにいれんだろ?....おまえの隣で、守れる」
「っ....、」
不意打ちで呼ばれた名前。
私のため、ってこと.....?
だけど、それでも。
「周りが納得しないと思います.....。どんな理由でも、....っ、おうがくんの彼女が、私だなんて」
桜雅くんと、私。
釣り合う要素が1つもない。
「わたし、地味 ....だよ。お、桜雅くんに迷惑かけてばっかり。もし仮にカノジョとかなったら、ぜったい桜雅くんの邪魔になっちゃう」
ただの偶然から助けてもらった私に、桜雅くんはそこまで情けをかける必要ないんだよ。
....それを放っておけないやさしい桜雅くんだから、なおさら申し訳ないの。
「俺が未桜のこと、邪魔とかおもうわけねーんだけど」
「っ、へ....」
なぜか、むすっとご立腹な様子の桜雅くん。
その表情の理由がわからなくて、おもわず首を傾げてしまう。
「邪魔、じゃないの....?」
「当たり前だろ。....おまえばかなの?」
「ばか....?」



