ソファから立ち上がった律くんが、私の手を掴むと、ぐい、と引き寄せる。


みんなから隠すみたいに、視界が律くんで覆われる。


気づいたら、目の前に律くんの顔。


至近距離に目を見開くと、律くんが企むように口角をあげると、そのままにやり、と笑ってみせて。



「....あいつらに見せつける?」




────唇を、やさしく塞がれた


「....ん、」


熱っぽい感触に、ぼうっと立ち尽くして.....と、そこで我に返った。


わたし、みんなの前なのに.....っ。


熱に侵食された頬が、じわりと火照る。


「やっぱだめ。その顔見ていいのは俺だけ、....彼氏のトッケンってやつ?」


「....っ、カレシっ?」



冷ますために伏せていた顔をあげる....と、やさしい表情の律くんが、私の頬をなぞって。


「フリじゃなくて、本物の彼女になって」



熔けるみたいな声が、頭のなかに響いてる。


ニセモノじゃなくて、ホンモノ。


私が律くんのカノジョ────なんだ


瞳を重ねて、こくりと頷く。



「....もう離してやんない」



ふわりと表情を緩めて、そっと囁いた。


熱っぽい瞳、その熱が向けられるのは、私だけ。



「....だいすき、」



────ずっと溺れているから、離さないで






〖溺れて、乱されて〗
::Fin