「....んん、っ」
さいごに、かり、と上唇を柔く噛んで、唇は離れていった。
.....キス、にかいめ....!
律くんは自分の唇を人差し指で拭って、にやりと笑う。
色っぽい仕草に、ドキッと心臓が浮いて、ぶわりと頬が火照っていく。
うう、と顔をそらそうとして、ふと気づく。
「っあ、ごめん律くん....!唇にリップのラメが」
「ん?....ああ、これ?」
指の腹についたラメを見て、首を傾げる律くん。
すると私の方に顔を向けた律くんが、私の上から下までをじいっと視線で落として。
「....かわいい格好してんな、今日」
「っゆ、悠莉が服とかメイクとかやってくれて」
律くんの''かわいい''に、ふわりと胸の奥が甘く疼く。
律くんが、かわいいって言ってくれた....!
表情がほころんで、ふにゃりと頬が緩んでいくのが自分でもわかる。
律くんは一瞬固まって、あー....と唸りながら手のひらで顔を覆う。
「....、ばかかわいーな」
ぽつり、ちいさくこぼされたセリフは、聞き取ることができなかった。
そして、なにかを気づいたみたいに顔をあげて。



