期待してしまう。
もしかして....って、散々カンチガイをしてしまっているけど、今この瞬間だけは、間違いじゃないっておもいたい。
「律くん、は....、わたしのことどう、」
「....未桜」
''どう思ってる?''そう続けようとした言葉は、耳元で囁かれた名前に遮られる。
律くんに''未桜''って呼ばれると、ぐっと体温があがるのは、たぶん気のせいじゃない。
再び視線が絡まって、どき、どき...って、聞こえるのは自分の心臓の音だけだ。
やさしく細められた瞳と、微かにあがった口角。
薄い唇が、ゆっくりと開いて。
「たぶん、俺の方が好きだよ」
じんわりと熔けるみたいな声に、ぼうっと固まってしまう。
....すき、って言った。
律くんが、私に.....?
「....ほんとう?」
「ふは、さっきと逆だな」
「だって、律くんが....、っ」
すると突然、ふに、とした感触が唇に押しあてられて。
柔らかいそれに、思考をぜんぶ奪われる。
さっきみたいに一瞬じゃない、ゆっくりと押しあてて塞ぐ、やさしいキス。



