気づいたときには、もう手遅れで────
包まれている手のひらに、そっと自分の手のひらを重ねた。
繋がれたままの視線を離さないように、じっと深い色の瞳を見つめて。
「...すき。律くんが、すき....っ」
こぼした瞬間、胸の内でくすぶっていた熱が、ぱちん、と弾ける。
気持ちを伝えた恥ずかしさとか、伝えたあとの不安とか、そういうものより、やっと言えた....って、どこか安心してしまう。
「....ほんとに?」
「っほんと、だよ....!....だいすき、です」
簡単にこぼれてしまった、''だいすき''に時間差で頬が熱くなる。
赤い顔を見られたくなくて、重ねていた手のひらで覆おうとするけど、それは叶わなかった。
「っ、りつくん....?」
────ふわり、とやさしく抱きしめられる
片腕は背中にまわって、もう片方は頬に添えたまま。
必然的に視線は重なるわけで、ドキドキ、を越えてバクバク、心臓が派手な音を経てて、血液が沸騰したみたいに、身体全身があつい。
....だって、律くんの私のことを見る瞳が、あまりにもやさしくて、甘く誘うみたいに熱で溶かされる。



