瞳と瞳がぶつかって、ドクン、と心臓が跳ねる。
閉じていたはずの瞳が、こちらを真っ直ぐと見据えている。
「さっきの、もう一回」
「っ、さ、さっき....って」
『すき、』
思い当たるのは、これだけ。
それを聞いてて、もう一回って言ってるの?
困惑気味に見つめても、真っ黒な瞳からはなにも読み取れない。
逃げようにも、背中と腰をホールドされているから、律くんから離れることすらもできない状態で。
....どうし、よう。
瞳をそらそうにも、向こうの瞳で拘束されている。
すると、ふわり、と頬を両手で包まれる。
そのまま持ち上げられて、顔と顔との距離がぐっと縮まって。
「────言って、未桜」
「....っ、」
ほんとうにずるい。
声も瞳も触れてくる手のひらも────ぜんぶ、ずるいくらいにやさしいから
やさしさを落とされるたび、やさしさとは別の部分の、もっと深い方に堕とされる。



