いつもの綺麗で乱れひとつない髪型しか見たことがないから、こういう、無防備ですこし抜けているカオは、すごく新鮮で。
....お泊まりした次の日の朝、いまと同じようなことを思った気がする。
「....りつくん」
────このひとを、一人占めしたい、って
「すき、」
ぽろり、ほぼ無意識に落ちたセリフ。
寝てるときなら、言えるのに....。
柔らかい髪を撫でながら、こころに溜まった熱を吐くみたいに、もう一度、と顔を近づけたら────
「....っ、ん」
さっきまで止まっていたはずの腕が伸びてきて、頭の後ろに差し込まれて。
そのままぐい、と距離を縮められて。
下からすくうみたいに、唇を重ねられた。
掠めるみたいに一瞬触れて、離れていく''それ''
目を見開く。
唇に手をあてると、微かに触れた熱は残っていて。
「りつ、くん....?」
なんで、寝てたんじゃないの、寝たふりしてたの、次々と湧いてくるたくさんのハテナ。
─────なんで、キスしたの



