「あっ、だから最近お父さん家に帰ってこなかったの....?」
「....ああ。若者だけに任せてたまるか、ってな」
「司ったら、A&Iの通常業務そっちのけで情報収集に没頭してたのよ?今日の帰り際だって、秘書さんに引き止められてたもんね。''社長仕事してください~っ''って」
こつ、と肘でつつくお母さんに、お父さんは誤魔化すみたいに視線を避けて。
「莉子だって最近あんま眠れてないだろ?目にクマできてる」
「ふふっ、大丈夫。司がぜんぶ解決してくれたでしょ?安心して眠れるよ」
「....ん。それならよかった」
目の縁をやさしく指でなでたお父さんは、そのまま手のひらをお母さんの頭に乗せて、ぽんぽん。
お父さんのお母さんを見る眼差しが、なによりもやさしいことを知っている。
.....お父さんって、お母さんの前だと口調がくだけた喋り方になるの。
私がいること分かってますか?と問いかけたくなるくらい、空気が....。



