「8年前、香山が私を連れ去ろうとしたあの公園....で、香山は。''おまえのオトーサンにぜんぶ奪われた''って言ってたの。
お父さんとお母さんも....''香山が捕まればすべて終わる''って話してたよね。

お父さんと香山の間に、なにがあったの....?」


伏し目がちだったお父さんの瞳が、静かにひとつ、瞬きを落とす。


じっと、それを見つめていたら、未桜、と名前を呼ばれて。



「─────R&LITSっていう会社、知ってるか?」


「あーるあんどりーつ....、どこかで聞いたことある、ような....?」



私の問いかけに対するお父さんの返答に驚きながらも、''R&LITS''という単語を頭のなかで唱えてみる。



「っあ。その会社って、裏でヤクザと繋がってたことが発覚した....っていうところ?昔のことだけど、今でもたまにニュースでやってるよね....、」


「そう。9年前、暴力団の資金源として不正の融資を引き出していた疑惑で、警察の摘発を受けたのが''R&LITS''。

....その暴力団っていうのが、榊組なんだよ」


「榊組....って。香山のいたところ、」